【Martin ~Authentic Series~ D-28 Authentic 1941 2013'】
1930年代から40年代にかけて、Martinが黄金期と呼ばれる時代を迎えていた頃。その中でも1941年製のD-28は、現代に至るまで多くのプレイヤーやコレクターを魅了し続ける特別な存在である。今回入荷したのは、Martin Museumに展示されている1941年生まれのD-28を忠実に再現した「D-28 Authentic 1941」。2013年製の初期個体であり、現在のAuthenticシリーズでは見ることのできない、非常に希少性の高い仕様を備えた一本である。
本器を語るうえでまず注目したいのが、トップに採用されたアディロンダック・スプルースである。現在のAuthenticシリーズではVINTAGE TONE SYSTEM(VTS)によって木材をエイジングするモデルも多いが、本器はVTS加工を施していない初期仕様。上質なアディロンダック・スプルースそのものが持つ、力強いレスポンスと豊かなダイナミクスをそのまま味わえる。
そしてバック&サイドには、現在では極めて入手困難となったマダガスカル・ローズウッドを採用。ブラジリアン・ローズウッド、いわゆるハカランダの代替材として高く評価されてきた材であり、深い低域、伸びやかな高域、豊かな倍音を併せ持つ。その美しい木目もさることながら、D-28らしい力強いサウンドを支えるうえでも非常に魅力的な組み合わせである。
特に希少性という点では、このマダガスカル・ローズウッド仕様は現在では非常に大きな意味を持つ。2026年現在、MartinはAuthenticシリーズにおいてマダガスカル・ローズウッドではなくグアテマラ・ローズウッドを採用しており、カスタムオーダーにおいてもマダガスカル・ローズウッドの使用を停止している。そのため、現在のラインナップでは再現できない仕様を持つ本器は、MartinのAuthenticシリーズの歴史を振り返るうえでも興味深い存在と言える。
構造面にも、ヴィンテージ・マーティンを忠実に再現するためのこだわりが詰め込まれている。Authenticシリーズではお馴染みのハイドグルー(ニカワ接着)による組み込みを採用し、ネックには当時の仕様を再現したT-Barロッドを搭載。さらにブレーシングはリアシフテッド仕様とされており、1941年製D-28の構造を現代の製造技術によって丁寧に再現している。
このギターの魅力は、単にヴィンテージ・スペックを再現したということだけではない。実際に弾いたときの扱いやすさにも、本器ならではの魅力がある。
Authenticシリーズというと、当時の太く存在感のあるネックを想像する方も多いかもしれない。しかしD-28 Authentic 1941は、ナット幅が42.9mmに設定されており、ネックシェイプにも極端なクセがない。そのため、ヴィンテージライクな雰囲気をしっかりと残しながら、現代のプレイヤーにとっても非常に弾きやすいモデルに仕上がっている。
特にD-28 Authenticシリーズの中でも、この1941仕様は演奏性のバランスが魅力的な一本である。握ったときに適度な存在感はありながら、手の中で過度に主張するような感覚がなく、コードワークから単音弾きまで自然に対応できる。ヴィンテージ・マーティンらしいフィーリングを楽しみながら、実際に「弾くためのギター」として選びやすい点も大きな魅力だろう。
そして、長い年月を経た本器から生まれるサウンドも見(聞き)逃せない。
程よく弾き込まれてきたことで、ピッキングした瞬間の音の反応が非常に良く、弦を弾いた力がそのまま音へ変換されていくようなレスポンスを感じられる。低音にはD-28らしい力強さと厚みがありながら、決して重たくなりすぎない。高音はカラッと抜けるように伸び、コードを鳴らした際には低域から高域までがバランス良くまとまってくれる。
特に印象的なのが、音量だけでは語れない「鳴り」の深さである。抱えて弾いた際にはボディ全体から振動が身体へ伝わり、音がスピーカーから出てくるのではなく、ギターそのものが大きく振動して鳴っていることを実感できる。繊細なピッキングには素早く反応し、強く弾き込めばしっかりと音量を押し出す。プレイヤーのタッチに対する許容範囲が広く、弾き方によって音色や表情が変化していくところも、本器の大きな魅力である。
状態については、2013年製という年月相応に使用による細かな弾き傷や打痕傷が各所に見られるものの、現状で木部に大きな割れなどのダメージはない。ボディバインディングには剥がれがあったため修理済みで、一部継ぎ足しが行われている。また、過去にピックアップを取り付けていたためエンドピン部には穴埋めの跡があり、現在はエンドピンが取り付けられている。
ヴィンテージ・マーティンを現代の製造技術で再現したAuthenticシリーズ。その中でも、VTS以前のアディロンダック・スプルース、マダガスカル・ローズウッド、ハイドグルー、T-Barロッド、リアシフテッド・ブレーシングという仕様を備えた本器は、現在のMartinでは同じ条件で手に入れることが難しい一本である。
1941年製D-28が持つ黄金期の魅力を、単なる復刻ではなく、現代のプレイヤーが実際に弾き込める楽器として再構築したD-28 Authentic 1941。力強い低音、カラッと抜ける高音、豊かな倍音、そして身体に伝わる深い振動。その一本を手に取れば、Martinが黄金期に築き上げたD-28の魅力を、現在の演奏環境でじっくりと味わうことができる。
希少な初期Authenticとしての価値だけでなく、今なお「弾いてこそ分かる」音楽的な魅力を持った、プレイヤーのための一本である。
※詳しいコンディションはお問合せください。
付属品:中古保証書(6ヶ月間有効)/ハードケース
【クロサワ楽器日本総本店】
写真や動画だけでは伝わらない、この一本ならではの響きや弾き心地をぜひ店頭でご体感ください。
店頭では同価格帯・同サイズのモデルとの弾き比べも可能です。
「弾いてみたい」「モデル選びで迷っている」という方も大歓迎。試奏だけのご来店はもちろん、音色や仕様の違いについても専門スタッフが丁寧にご案内いたします。
ご購入の際は、お客様の演奏スタイルやご希望に合わせた弦高・セッティングを施したうえでお渡しいたします。
お気軽にご相談・ご来店ください。
クロサワ楽器 日本総本店アコースティックギターフロア
お電話 03-5386-9630
E-Mail htn@kurosawagakki.com
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