90年代にVOXから発売されたゲルマニウム・トランジスタ採用のTone Benderの名を冠するファズペダル。
1960年代のVOX V828 Tone Bender、筐体正面にブラックパネルを配した所謂Mk1.5をベースとしたItalian Tone Benderをベースにしたモデル。
94~97年頃に販売されており、60年代のファズをそのまま復刻したというより、90年代にVOXが改めて古典的なファズのサウンドを製品化したモデルと考えると、その立ち位置が分かりやすいでしょう。
内部には2基のPNPゲルマニウム・トランジスタを使用し、SK3004が採用されています。
回路は非常にシンプルな2トランジスタ構成で、現代の多機能なファズやディストーションとは対照的な作りです。
ゲルマニウム・トランジスタならではの個体差や入力への反応も含め、ギターやアンプとの組み合わせによって音の表情が変化しやすいタイプです。
サウンドは、低域まで巨大に膨らむ現代的なファズというより、ザラついた倍音と独特のコンプレッション感を持った、60年代系ファズらしい荒々しい質感が特徴です。
歪み量そのものを競うというより、ピッキングの強弱やギター側のボリューム操作に対して反応し、弾き方によって歪み方や音の密度が変わっていきます。
アンプをある程度クランクさせた状態で使用すると、ペダルだけで歪みを完成させるというより、ギター、ファズ、アンプを一体として音作りする感覚を楽しみやすいモデルです。
「ゲルマニウムだから暖かい音」と説明されることも多いですが、実際にはトランジスタの個体差、回路、ギター、アンプなどによって音の印象は大きく変わります。
V829も単純にウォームなファズとして捉えるより、独特のコンプレッションや入力への追従感、粗い倍音感を含めて評価したほうが実像に近いでしょう。
Tone Benderという名称から、1960年代のSola Sound製のTone Bender製品群などを想像ますが、Tone Benderには製造時期やメーカーによって複数の回路が存在し、V829はその中でも上記のMl1.5やVOX V828 ToneBenderに連なる2トランジスタ系の流れに位置するモデルです。
いわゆる「Tone Bender」という名前だけで括るよりも、VOX独自の60年代ファズを90年代に再び製品化したものと考えると、より正確です。
電源は9V電池による駆動を前提としたシンプルな仕様で、現代的なペダルボードへの組み込みやすさよりも、当時のファズらしい構成をそのまま楽しむ方向の製品です。
60年代のオリジナルV828とは異なる90年代製ならではの存在感もあり、古典的なVOXファズの系譜を辿りたい方はもちろん、一般的な現代ファズとは違った入力への反応や粗いゲルマニウム・ファズの質感を求める方にも興味深い一台です。
※付属品:箱、説明書
【店舗管理商品コード:2-92017892】
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