Wal(ウォル)は1970年代にイギリスで生まれた伝説的なベースブランドです。
2007年頃のブランド終了までに高品質なベースを製造し続け、Paul McCartney、John Entwistle、Mick Karnなど、多くのプロベーシストに愛され続けました。(敬称略)
本機は、そんなWalの歴史の中でも最初期にあたる1978年に製造された、大変希少なJG Custom Bassです。
JGシリーズが誕生する以前、Walのベースはすべて事実上のワンオフで製作されていました。
このJGシリーズの登場によって現在のWalベースの基礎が体系化されましたが、それでもなお、各個体が実質的なカスタムメイドとして非常に手間をかけて作られていた時代の産物です。
モデル名である「JG」は、Roxy Musicなどでの活躍で知られるイギリスの名セッション・ベーシスト、John Gustafson氏に由来しています。
公式な記録によれば、このJGモデルは歴史上でわずか44本しか製造されていません。
本機がいかに資料的価値も高く、世界的に見ても極めてレアな個体であるかがお分かりいただけるかと思います。
ボディはおそらくAsh、ネックはMapleです。
ラミネートされているのはおそらくWalnut。
指板はRosewoodのように見受けられます。
フレットレスですが、最初からフレットレスとして製造されたのか、フレッテッドのものがフレットレス化されたのかは断定できません。
ナット付近が隆起しておりますが、こちらは度重なる指板修正によって薄くなってしまった指板が、トラスロッドを締めたことによって、トラスロッドが露出し、割れてしまった物です。
修正されたように見受けられますが、その後に再度割れてしまったようです。
これ以上隆起してしまう可能性があるため、トラスロッドの動作については確認できません。
正常に使用したい場合は、指板の張り替えを推奨します。
GIBにて承ることも可能ですので、お気軽にご連絡ください。
ピックアップは Walオリジナルですが、この当時のWalピックアップにはエスカッション部分にディップスイッチがついているため、後から別のWal製に交換されている可能性があります。
コントロール群もWalのオリジナルです。
マスターボリュームに、ネックPUボリューム、ブリッジPUのボリューム、それぞれのPUのトーン、そしてPUセレクターを備えています。
また、PUの横には3つのディップスイッチがございます。
上下のスイッチは、おそらくトーンシェイピングスイッチ。
真ん中のディップSWはその挙動から、ピックアタックSWだと思われます。
トレブルをブーストし、指で引いてもピック弾きのようなアタック感が得られます。
先述した3つのディップスイッチの位置ですが、本来はトーンシェイピングスイッチがピックアップのエスカッション、ピックアタックスイッチはトーンノブ付近にございます。
このことから、コントロール群も、後からWal製の物に交換されている可能性がございます。
また、ジャック周りの配線は、フォンケーブル用のジャック以外全て切断されています。
ネックPUトーンのコンデンサの足が折れています。
ピックガードは、当時はレザー製が多く採用されていましたが、本機はプラスチック製です。
本機は上記のように、各所に様々なカスタムが施されている可能性がありますが、明確なカタログ等が存在せず、それらがオリジナルなのか、改造されたものなのかは断言できません。
改造されていた場合は、Walの工房に持ち込まれ、後継機のPro ⅡEと似た仕様のエレクトロニクス・ピックガードに交換したのではないかと思います。
一本一本が実質的なカスタムメイドであった当時の背景を考慮すると、これらがオリジナルの仕様である可能性も十分に考えられます。
チューニングマシンはSchaller、こちらはおそらくオリジナル。
ブリッジは、Walの工房以外の場所でBADASS BASS Ⅱに交換されています。
サウンドはWal特有の極めて密度が高く、ゴリッとした硬質なミドルレンジが、立ち上がりの速さと力強いサスティンによって際立っているような印象。
強めにピッキングした際の、バキッと弾けるようなアタック感と独特のコンプレッション感は、他のどんなベースでも決して味わえない強烈な個性を持っています。
Wal独自の強力なコントロール群とピックアタックSWを駆使することで、地を這うようなディープでメロウなトーンから、アンサンブルを切り裂くような凶悪でエッジィなサウンドまで、その表情を自在に操ることができます。
ヴィンテージWalならではの途方もないオーラを感じる極めてプレミアムな一本です。
トラスロッドの状態は、指板割れが悪化する可能性があるため、確認しておりません。
ネックの状態は、ネックは概ねストレートです。
弦高は2.5mm~3.0mmに調整しておりますが、5~7Fにデッドポイントがございます。
ナット付近が割れ、隆起していますが、バズやピッチには影響はございません。
ボディや塗装面は、全体に打痕や塗装割れのある、ヴィンテージルックスです。
電装系の状態は、XLRアウト、その下のディップスイッチへの配線が切断されています。
ネックPUのトーンコンデンサの足が切れており、正常に使うには交換が必要です。
ブリッジがBADASS BASS Ⅱに交換されています。
ピックガード、ピックアップ、コントロール群は交換されている可能性があります。
コントロール : PUセレクター、マスターボリューム、ネックPUボリューム、ブリッジPUボリューム、ネックPUトーン、ブリッジPUトーン、トーンシェイピングSW、ピックアタックSW、トーンシェイピングSW
ナット幅 : 43.6mm
ブリッジ部弦間ピッチ : 溝切りの位置がズレており、E弦~D弦間は19mm、その他は18mmになっています。
スケール : 34Inch
製造年 : 1978
製造国 : UK
セットアップ時には当店オリジナル弦のGIB BASIC / Standard Bass Stringsを使用しています。
素直なサウンドと安定した演奏性が特徴で、楽器本来のキャラクターを自然に引き出します。
実際に当店のリペア・セットアップ現場でも採用している信頼性の高い弦です。
ベーシストのための新たなスタンダードを目指した弦を、ぜひお楽しみください。
GIBの職人が演奏しやすく調整した上でお届けします。
こちらは販売委託商品のため、送料が通常と異なる場合がございます。
付属品 : なし
文章 : 川見魁梧
検品担当 : 川見
商品写真 : 村岸
GIB 3か月保証付き
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