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【Martin D-28 1944年製】
お客様ご委託品。
第二次世界大戦の真っただ中に製作された、1944年製Martin D-28。
1940年代は戦時下という特殊な時代背景により、Martinの仕様にも大きな変化が見られました。金属資材の不足から、それまで採用されていたスティール製Tバーロッドはエボニー製ネックロッドへ変更され、ペグのボタンもプラスチック製へ移行。また、ドイツから輸入されていたヘリンボーントリムは供給が途絶え、生産終了を迎えるなど、1944年前後はプリウォー仕様からポストウォー仕様へと移り変わる、歴史的な転換期にあたります。
本器は、その貴重な1944年製。ヘリンボーントリム、アディロンダック・スプルースTop、ブラジリアン・ローズウッドSide & Back、そしてフォワードシフテッド・スキャロップドXブレーシングと、黄金期Martinを象徴する仕様を備えています。
さらに、指板にはダイヤモンド&スクエア・インレイを採用。このインレイデザインは1944年が最終採用年となり、翌年以降はドットインレイへ変更されるため、コレクターからも高い人気を誇るディテールです。
ネックは約42.9mmナット幅のしっかりとしたVシェイプを採用し、エボニーロッドならではの軽量なネック構造も特徴。ロングサドル仕様と相まって、反応の速さと豊かな倍音、空気感をまとった乾いた鳴りは、この時代のD-28ならではの魅力と言えるでしょう。
戦時下という限られた資材の中で製作されながらも、現在では「黄金期Martin」の一本として世界中のプレイヤーやコレクターを魅了し続ける1944年製D-28。歴史的価値と演奏楽器としての完成度を兼ね備えた、まさに一生もののヴィンテージギターです。
【状態】
本器は80年以上の歳月を経てきた個体であり、その長い歴史の中で演奏性とコンディションを維持するため、様々な補修・調整が施されています。
主な内容としては、ブリッジ剥がれに伴う貼り直し・再接着(度重なるブリッジの貼り直しによるダメージにより、次回の再貼り直しは不可能かと思われます)、ブリッジプレートの再接着(大きめのプレートへ交換)、ピックガード横のクラック補修(接着およびパッチ留めによる割れ止め施工)、ネック調整、リフレット、ナット・サドル・ピックガードの交換などが行われています。また、経年による表板の歪みや膨らみも見受けられます。
ヴィンテージギターとして相応の修復歴を持つ個体ではありますが、現状で演奏に支障をきたすような問題はなく、安心してお使いいただけるコンディションを維持しております。
外観は、長年弾き込まれてきたことを物語る傷やウェザーチェック、塗装剥がれなどが全体に見られますが、それらは単なるダメージではなく、このギターだけが刻んできた歴史そのもの。新品では決して味わうことのできない、ヴィンテージならではの圧倒的な風格と存在感を醸し出しています。
現在のセッティングは12フレット上で6弦約2.6mm、1弦約1,9mmと高い演奏性を確保。弦高調整の経緯によりブリッジの厚みは薄めとなっていますが、快適な弾き心地に仕上げられています。
肝心のサウンドは、まさに黄金期Martinの真骨頂。ひとたびコードを鳴らせば、ボディ全体から音が溢れ出すような豊かな響きが広がり、長い年月を経て熟成された乾いたトーンと、包み込むように伸びるサスティーンが印象的です。一音一音に確かな芯があり、ブラジリアン・ローズウッドならではの力強く深みのある低音と、アディロンダック・スプルースが生み出す歯切れの良い高音が絶妙なバランスで共存。新品では決して得られない、ヴィンテージギターだけが持つ奥行きと説得力を存分に味わえる一本です。
ハードケース付属
クロサワ楽器 日本総本店アコースティックギターフロア
お電話 03-5386-9630
E-Mail htn@kurosawagakki.com
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