この楽器については 確かな情報が殆ど無く、多くは自分の体験と断片的な情報、状況等による私の推量で書いていますのでご了承ください。
神戸にロッコーマン株式会社という、老舗の楽器貿易商、卸問屋があります。主にクラッシック・ギターやヴァイオリン等の弦楽器を扱っている会社ですが、その理念にも違和感なく合致していたのでしょう、90年代半ば~後半まで、アレンビックの輸入代理店業務をやられていました。90年代後半から株式会社新星堂に代理店が移るのですが、これはロッコーマンでアレンビックを担当されていた方(大西隆文 氏) が新星堂に移られたからで、そういう意味ではアレンビックに関する情報源は、今の株式会社スリークエリートになる以前は、一人の人物によるものだったと言えるでしょう。
フリスコは、そんなロッコーマンのオリジナル・ブランドなのですが、生産にあまり一貫性がなく、作ったり止めたりを繰り返していた印象があります。自分が初めてフリスコの楽器を見たのは、85年前後でした。アレンビックのPU が標準搭載で、アクティベイタータイプのプリアンプも装備されたフェンダー・タイプの楽器で、基本的に本機と同様です。
違ったのはヘッド形状で、フェンダー・デザインに、絶妙にアレンビック味を加えたもので、かなり好印象だったのを覚えています。当時はアレンビック・ジャパンという日本製のアレンビックも製作していたので、かなり力の入っていた時期だったとも言えます。デザインのまとめの上手さは、クラッシック楽器を主に扱っていたからでしょう…上品な仕上りになっていました。そんな楽器が生まれた背景には、アレンビックが、フェンダー互換のPUを発売したからだと思われます。それを活かした商品開発をされたのだと思います。しかしエレキギター/ベースが主力の会社ではないからでしょうか、程なくフリスコは市場から一旦姿を消します。もしかしたらPUの在庫を使い切ったからかもしれません。
しばらく間をあけて復活したのが本機と考えられます。折角のオリジナル・デザインのヘッドをやめて、フェンダー・ヘッドに改めています。木部の工場そのものが変わったのかもしれません。とはいえ加工精度はかなり出ていて良質な木部になっています。楽器本体、ジョイント・ポケット内やコントロールキャビティ内に、シリアル番号や製造年月日、等の記載が一切無いので、楽器本体からは本当に何も分かりません。
もしかしたら、90年代半ばの代理店変更時に、余剰在庫のPU の消化の為に限定的に製造されたものなのかもしれません。そう考えると、オリジナリティを持たせたヘッドをやめた点や、ごく稀に見かける中古品が、ナチュラル仕上ばかりな点等の理由に合点がいきます。製造上のコストを最小限にしたかったのではないでしょうか。
一方、00年代に入門者向けの低価格の楽器として、フリスコは再デビューしますが、アレンビックが抜けて以降の、もしかしたら商標の維持等が目的での生産だったかもしれません。(これに関しては単に憶測に過ぎません)
前述の通り、本機の木部はよく出来ています。フェンダー・タイプの楽器として水準以上です。各部調整機構は問題なく機能します。そしてなにより殆ど傷の無い美品です。新品同様 (A+) に近い一本です。PUやプリアンプもヤレが全く見られません。少なくとも20年程度は経過している楽器と思われますが、だとすれば相当な美品と言えるでしょう。
当然ながら電装系は強く、ウルトラ・ローノイズ且つ、トーンバリエーションは非常に広い個体になっています。
装飾的な部分が殆ど無いプレーンな楽器ですが、アレンビック的なブランド・ロゴのフォント以上に魅力的な一本です。
正式なモデル名すら不明な楽器ではありますが、こちらはオススメの1本です!
何故かムーンのソフトケース付属。
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