【O'ahu HG-28：Martinの鼓動と、ハワイの記憶が交差する“黄金の呼吸”】
1920年代、アメリカ全土を席巻したウクレレブーム。
その熱狂は、Martin社を経済危機から救い、
アコースティックギターの黄金時代へと橋を架ける大きな力となりました。
そして、その成功の中心にいたのが「ハワイアンコア」。
当時、ウクレレといえばこの木材――と言われるほど、
ハワイアンコアは“音と美のスタンダード”でした。
【S/N 2931391 杢目について】
トップには、極めて繊細な縦方向のグレインが均一に並び、
まるで朝露を含んだシルクの布を張ったような柔らかな輝きを見せてくれます。
その端正さの中に、ふわりと揺れる杢の波が潜んでいて、静かながら奥行きのある表情を湛えています。
バックには、ハワイアンコアらしい深みのある琥珀色と、
炎のように揺れるフレイム杢が豪快に流れ、
中央のラインを挟んで左右対称に広がる模様は、
まるで南国の海に沈む夕陽を背にしたシルエットのよう。
見る角度や光の加減で表情を変えながら、
自然が描いた“二度と同じものはない絵画”を背負ったような佇まいです。
この個体の木目には、古き良きMartinの品格と、
ハワイの命が宿る温もりが、しっかりと刻み込まれています。
【S/N 2931391 サウンドについて】
ストロークでは、高音域がスッと空間を抜け、明るく澄んだ響きが広がります。
その音色は軽やかで爽快感がありながら、どこか木のぬくもりを残し、
ハワイアンコア特有の“煌めき”と“柔らかな立ち上がり”が絶妙なバランスで共存しています。
指弾きでは、各弦の分離がよく、
爪先から弦へと伝わるタッチに敏感に応える追従性があります。
高音は繊細に粒立ち、中低域にはほんのりと甘さを感じるような柔らかさがあり、
全体として“静かな歌心”を感じさせるトーンキャラクターに仕上がっています。
弾き語りにおいては、ギターが歌の後ろに自然に回り、
声とのバランスを整えながらも、しっかりとしたコードの輪郭を保ちます。
ナチュラルな鳴りと広がりがあり、
自宅演奏やインティメイトなシーンでも心地よく響く一本です。
【O'ahu HG-28：Martinの鼓動と、ハワイの記憶が交差する“黄金の呼吸”】
1920年代、アメリカ全土を席巻したウクレレブーム。
その熱狂は、Martin社を経済危機から救い、
アコースティックギターの黄金時代へと橋を架ける大きな力となりました。
そして、その成功の中心にいたのが「ハワイアンコア」。
当時、ウクレレといえばこの木材――と言われるほど、
ハワイアンコアは“音と美のスタンダード”でした。
ハワイアンコアは、ハワイ諸島特有の気候と火山性土壌で育つ稀少な樹種であり、
赤褐色から黄金色まで揺れるような濃淡の表情と、
波紋のように現れるフレイム杢が見る者の心を奪います。
それはまるで、太陽に照らされた海のさざ波のよう。
そして音色は、ローズウッドのような深い倍音ではなく、
中高音に明るい抜け感と、独自のスウィートネスを持ちます。
HG-28は、そのハワイアンコアをMartin伝統のD-28スタイルに落とし込んだ、異色の名作。
ヴィンテージ・スタイルの28ボディに、
ハワイアンコアがもたらす“煌めく軽快さと奥ゆかしさ”をブレンドし、
ドレッドノートの力強さに、まるでウクレレのような“陽だまり”のニュアンスを加えています。
かつてMartinを救った木材を、今ふたたび最高のかたちでギターへと昇華させた。
それが、このHG-28。
一本のギターが、時代を超えて語りかける“歴史の記憶”なのです。
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