【CTM 000-42のモデルと仕様について】
まさに〈000の王冠〉とも称される、Martinの代表的モデル "000-42"。
1918年の誕生から一世紀を超え、アコースティックギターの歴史の中で
最も象徴的な存在として語り継がれてきました。
特に1990年代、エリック・クラプトンがMTVアンプラグドでこのモデルを抱え、
静けさの中で響かせたあのトーンは、世界中に“アコースティックの復権”を呼び戻す原点となりました。
このカスタムモデル《CTM 000-42 Premium Adiron》は、
そんな伝説的な000-42の哲学を忠実に受け継ぎながらも、
ディテールに新たな命を宿した一本です。
トップ材には、プレミアムグレードのアディロンダックスプルースを使用。
深みと芯のある鳴りが、000サイズ特有の繊細さを際立たせ、
プレイヤーの表現を余すことなく受け止めます。
サイド＆バックにはローズウッド、バインディングにはあえてメイプルを選択し、
装飾的な美しさに上品なアクセントを添えています。
またペグは高精度で定評のあるゴトー製ゴールドオープンバックタイプにカスタム変更。
視覚的な煌びやかさに加え、実用性と耐久性にも優れています。
ネックは演奏性を追求したハイパフォーマンステーパー、
ブレーシングにはスキャロップド・Xブレースを採用。
繊細なニュアンスを描き出す表現力と、響きに込められた“詩情”が、
プレイヤーの想いをそのまま音へと昇華させます。
贅を尽くしながらも過剰にならず、あくまでも音楽と向き合うための
品格と機能性を持ち合わせた、極めてバランスの取れた一本。
それはまさに、〈シンプルでありながら本質を突く〉という、真の美しさを体現しています。
“ただのギターではない、自分の人生を語るためのギターを探している”
そんな方にこそ触れてほしい、唯一無二の逸品です。
【サウンドに関して】
サウンド面において、本器は“素材と設計の結晶”と言うに
ふさわしい完成度を誇ります。
トップ材に用いられたアディロンダックスプルースは、
特有の高い剛性と瞬発力を備え、弾いた瞬間に空気を震わせるような
キラびやかな倍音成分を生み出します。
その音色は高貴かつ立体的でありながら、
甘美さに頼らず芯のある輪郭を伴い、
まるで良質なシャンパンのように繊細なきらめきが長く余韻を引きます。
加えて、000サイズ特有のボディ鳴りが絶妙な荒々しさを加え、
洗練された響きの中にも有機的で“弾き手の呼吸を感じさせるような野性味”が共存。
カスタムモデルならではのバランス設計によって、各弦の分離感とダイナミクスが極めて均一で、
コードワークにおいても旋律の流れを乱すことなく、まっすぐに響きが伝わってきます。
そしてこのギターが真に魅力的なのは、今この瞬間が完成形ではなく、
「弾き込むことで進化する未来」が明確に想像できるという点です。
演奏を重ねるほどに、アディロンダック特有のタイトな高域がほどけ、
ローズウッドの中低域が深みを増し、
音の輪郭に“枯れ”が加わっていくであろうポテンシャルに満ちています。
まさに、所有者とともに時間を刻み、響きを育てていける一本です。
“最初からすべてが出そろっているのではなく、付き合うほどに心を開いてくれる”
そんな一本との出会いをお探しの方にこそ、お勧めしたいモデルです。
【杢目に関して】
本器に採用された木材は、どれも選定の段階から“響きと美の両立”を追求した極上材。
トップには、アディロンダックスプルースの中でも
特に美しい「リボン杢（シルキーグレイン）」が浮かぶ個体を使用。
緻密かつ均一な木理は、アディロンダックらしい力強さを内包しながら、
柔らかな艶とともに浮かび上がる繊細な光の揺らぎが、ボディ全体に気品を添えています。
シンプルなクリアフィニッシュに映えるその表情は、
まさに天然素材が持つ“無垢の気高さ”そのもの。
バック＆サイドには、まるで高級家具を思わせるような
密度のあるストレートグレインが美しい、インドローズウッドを採用。
深みのある赤褐色の地に、均整の取れた縦縞模様が並ぶその佇まいは、
落ち着いた高級感とともに、音響材としての優れた性能をも感じさせます。
特にバックセンターのパーフリングを挟んで広がるこの均整美は、
見る角度によって微妙に表情を変え、所有者だけが知る悦びを届けてくれるはずです。
そして、指板とブリッジに使われたブラックエボニーも、
色むらのない深い黒が選ばれており、アバロンインレイとのコントラストがひときわ際立ちます。
“美しい木目は、ただの装飾ではなく、音を導く導線である”
そう語るかのようなこの一本は、まさに材の選定と美意識が結晶した、
現代のマーティン・カスタムワークスの真骨頂です。
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