当時、伴奏用向けに発売されたスリーピースバックが特徴のD-35を入荷致しました。
Martinファンの方はご存じのスリーピースバックで有名なD-35の2025年製仕様モデルを入荷致しました。
歌声に溶け込みやすい音色が、より洗練されたD-35 Standardを是非一度ご検討下さい。
【D-35 Standard(2025年モデル)の概要と仕様】
Martin D-35 Standard(2025年現行モデル)は、
マーティン社を代表するドレッドノートサイズのアコースティックギターで、
その特徴的な3ピースバック(バック板3枚接ぎ)と
軽量なブレーシング構造によるバランスの良い豊かなサウンドで知られています。
トップ材にスプルース単板(ヴィンテージ風のエイジングトナー仕上げのグロス塗装)、
サイド・バック材にイーストインディアン・ローズウッド単板を採用しています。
バックはマーティン伝統のスタイル35に則った3ピース構造で、
アンティークホワイトのバインディングとマルチストライプのパーフリングが施され、
高級感あるルックスとなっています。
指板は20フレット仕様のエボニー(黒檀)製で、
ヴィンテージ・スタイルの白い指板バインディングとパールドットの
ポジションインレイが施されています。
ブリッジもエボニー製で、サドルとブリッジピンには
牛骨が使用されています。
ネック形状は現代的な演奏性を重視した
「GE(ゴールデンエラ)モディファイド・ロー・オーバル」シェイプで、
従来より薄めの握り心地とハイパフォーマンス・テーパー
(ハイポジションに向けて細くなるテーパー)を備えています。
スケール(弦長)はロングスケールの25.4インチ(約645mm)で、
ナット幅は44.5mmと広めに設計されており、
2018年以前の約42.9mm(1-11/16インチ)から拡大されました。
ネック裏は演奏しやすいサテン仕上げで手触りが良く、
ヘッド裏に伝統的なボリュート(突起)が付かない点もD-35の特徴です。
搭載されているペグ(糸巻き)は
クロームメッキのグローバー製ロトマチック・チューナー
(クローズドギア・ラージノブタイプ)で、
ヴィンテージの「ミルクボトル」形状を再現した信頼性の高いチューナーです。
ピックガードは鼈甲柄が採用されています。
ブレーシング構造(力木)にもD-35ならではの特徴があります。
Xブレーシングのパターンは現行モデルでフォワードシフトされており、
ブレース自体は厚み約1/4インチのノンスキャロップド仕様です。
もともとD-35は発売当初からD-28よりもブレーシングを細く(軽量に)設計しており、
これが軽快でレスポンスの良いサウンドに貢献しています。
スキャロップ加工を施さないノンスキャロップドながら
ブレーシングを細幅にすることでトップ板の鳴りを確保し、
ドレッドノートサイズらしい豊かな音量と厚みを保ちつつ、
音の輪郭が明瞭でバランスに優れたトーンを実現しています。
このフォワードシフトXブレーシングと軽量ブレースの組み合わせにより、
現行D-35は低音域に深みを持たせつつ中高音域が抜ける、
ヴィンテージライクな響きを備えています。
サウンドの傾向と設計コンセプト
D-35 Standardのサウンドは、同じローズウッドを用いた
ドレッドノートであるD-28とよく比較されます。
その音響的な特徴として、低音域はD-28よりやや控えめで、
高音域はきらびやかでクリアに響く傾向があると評されています。
一般にD-28が「ドンシャリ(低音と高音が強調されたメリハリのある)サウンド」と
表現されるのに対し、D-35は軽量ブレーシングによる柔軟な響板振動のためか
中高音の美しさが際立ち、低音も過度に出過ぎずバランスが良い印象です。
このため伴奏向きで歌を邪魔しない穏やかな低音と、
アルペジオやストロークで埋もれない澄んだ高音を併せ持ち、
フォークやポップス系の弾き語りに非常にマッチするサウンドキャラクターになっています。
実際、D-35開発当初のコンセプトも「当時流行していたフォークソングの
歌唱スタイルに寄り添う伴奏用ギター」でした。
ブルーグラスなどで求められるD-28のような爆発的な低音・音量よりも、
ボーカルを引き立てる軽快で透明感のあるトーンを狙った設計になっており、
このコンセプトは現行モデルにも受け継がれています。
もっとも、2018年以降はブレーシング位置の前方シフト化により低音の深みも増しており、
従来よりもパワフルさと厚みが加わったサウンドになったとの指摘もあります。
総じてD-35は豊かな音量感を持ちつつ過度に低音に偏らないバランスの良い響きで、
「歌を伴奏するには欠かせないサウンド」と評価されています。
【D-35モデルの歴史】
Martin D-35は1965年に初登場したモデルで、
1930年代生まれのD-18やD-28とは異なり
1960年代のフォークブーム真っ只中に誕生しました。
当時、アメリカではキングストン・トリオや
ピーター・ポール&マリーなどに代表される
フォークリバイバルでアコースティックギターの需要が急増し、
マーティン社は受注残を3年以上抱えるほどの状況だったといわれます。
しかし一方で主要木材であったハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)の
資源枯渇が深刻化していました。
ドレッドノートサイズのバック板を従来通りの2ピース(一枚板×2枚)で
確保することが難しくなりつつあったため、
木材を有効活用する策として考案されたのがバックを3ピース構造にするD-35でした。
ちょうどこの頃(1967年前後)にブラジル政府が
ローズウッド原木の輸出を禁止する措置を取ったことも影響し、
マーティンは手持ちのハカランダ材を無駄なく使うために
3ピースバックの新モデル開発に踏み切ったとされています。
1965年に発売されたD-35は、外観上はバックが3枚継ぎになっていること以外
D-28と大きく変わらないように見えましたが、
内部のブレーシングを通常より細くした
(1/4インチ幅にした)ことがもう一つの大きな特徴でした。
これは上述したようにフォークソングの伴奏用に軽やかな鳴りを得る狙いがあり、
結果としてD-28との差別化にも成功しています。
D-28は当時ブルーグラスなど大音量の合奏で求められる
力強いサウンドを持っていましたが、
D-35はあえてトップのブレーシングを細くすることで
「歌を邪魔しない適度な音量感と広がり」を得る設計となりました。
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