本来は別のギターをオーダーする為にSagoの工房へ伺ったのですが、木材選定をしている時にたまたま見つけてしまったのが見事な木目の黒柿でした。
黒柿のギターは時々各ブランドから発売されますが、ひとえに黒柿と言えども木目は千差万別です。
多くの黒柿は黒いラインと白い木肌のバランスがどちらかに偏り過ぎてしまう傾向にありますが、この黒柿は見事な木目を誇っており、黒と木肌色とのバランスもパーフェクトな個体でした。
そんな黒柿ですが、フルサイズのSTタイプ等を製作するには微妙にサイズが足りず、テレ等で製作した場合は木取り的に何とも言えない部分が入ってしまう様なサイズ感でした。
そこで特に素晴らしい木目が出ている部分を最大限活かす事が出来る上に木目の雰囲気とボディーシェイプがマッチングしてくれるであろうフライングVシェイプを採用しました。
フライングVはモデルラインナップとしてSagoには存在しておりませんでしたが、過去にVを製作した事があるとの事でしたので、特別にVでの製作を頂く流れとなりました。
Vシェイプを採用すると決めた事でオーダー内容はトントン拍子に進んでいきました。
まず、ボディーバック材やネック材はどうするかというある意味一番重要なポイントに関してはビンテージのFlying Vよろしくコリーナ材(リンバウッド)を採用する事を即座に決定しました。
コリーナ材の使用を決めましたが、ビンテージのFlying Vの様にホワイトリンバを使用するのではなくブラックリンバを採用する事にいたしました。
※ホワイトリンバとブラックリンバの違いは、リンバウッドの中でも表皮に近く木目が殆ど出ない部位(ホワイトリンバ)と心材周辺で黒いラインが入る部位(ブラックリンバ)という違いで、種族としては同じ木材になります。
ただのVを製作するのでればホワイトリンバで十分なのですが、今回は見事な木目が出た黒柿トップを採用している為、ボディーバックもトップと同様に濃淡や黒いラインがハッキリと出た材を使用する事で全体の雰囲気もマッチングしてくれます。
その為Sagoが持つ木材の中でも最も黒柿らしい木目が出たブラックリンバ材を選定して当個体に採用させて頂きました。
指板に関しては、黒柿やボディーバック、ネックの黒々としたラインがマッチングする様にマッカーサーエボニーを採用しました。
マッカーサーエボニーは基本的に縞模様が出る材ですが、Sagoの木材倉庫で最も黒いマッカーサーエボニーをセレクトしましたので、漆黒と評しても過言ではない程の指板となりました。
ハードウェアに関してはゴールドパーツを採用する事で全体的に高級感溢れるルックスに仕上げております。
上記の文章をご覧頂くとルックス面重視で製作をしていると思われる方もいらっしゃると予想しておりますが、サウンド面も完璧です。
というのも、基本スペックはコリーナV準拠のものになりますのでコリーナVからかけ離れる要因がございません。
音の立ち上がりの速さを重視して、指板材のみローズウッドやハカランダではなくエボニーに変更したのみとなります。
エボニーに変更した理由はルックス面は勿論ですが、サウンド的に音の立ち上がりの速さを伸ばしたいという理由がございます。
それに加えて当個体の完成予想図からハイゲインサウンドでのプレイをする方も多いのではないだろうかという想定から"ハイゲイン時にも音が潰れずコード感があるサウンド"を生み出すべくエボニー指板を採用しました。
フレットにはEVOフレットを採用しております。
EVOは銅、錫、鉄の合金で、ニッケルは含まれないフレットとなります。
ゴールドパーツに合うフレットというルックス的な面でもマッチングしておりますが、どちらかというとサウンド面や演奏性面で今回のオーダーの意図にマッチすると判断しEVOを採用しました。
EVOフレットはニッケルフレットとステンレスフレットとの中間ぐらいの硬度を持つフレットで、フレットの摩耗に対する耐久性が高い上にサウンド面でも程よい硬質さと立ち上がりの速さを持つフレットとなります。
コリーナボディーなのでステンレスフレットだと音が硬すぎますが、ニッケルだと音が柔らかすぎる(先述のハイゲインサウンド対策という意味合いで)為、このEVOフレットは狙ったサウンドにマッチすると判断致しました。
次にサウンドに関してお話をさせて頂きますが、その前にコリーナ(リンバウッド)という木材についてお話致します。
リンバウッドという木材は、ご存じの通りGIbsonのFlying VやExplorer、Futuraの初期モデルに採用されたトーンウッドです。
乾燥段階で割れが発生し易く廃棄せねばならない割合が高い事や、木材の加工時に発生する粉塵、材単価の高さ(希少材)等を理由にマホガニーに変更されました。
それゆえにビンテージのGibsonでも使用製作本数が少なかった木材ですが、トーンウッドとしては非常に優れており、コリーナ材を使用したビンテージGibsonの復刻モデルは今でも非常に高い人気を集めております。
ビンテージに限らずPRSやSuhr等といったハイエンドブランドでもコリーナはよく採用されており、現代音楽に於いても相性の良い木材です。
コリーナのサウンドを言語化する場合、クリーン時とドライブ時で印象が大きく変わります。
クリーン時では非常にクリアで程よい硬質さを持ちます。
マホガニーと比べてハイミッドから高音域の帯域にかけて独特な特徴があり、アルペジオ等といった単音を重ねる様なプレイをする際に心地の良いサウンドを発揮します。
一方、歪みが乗り始めるセッティングにしていくと徐々に"ピッキングに食い付く様な粘りのあるサウンド"に変化していきます。
コリーナのサウンドが独特と言われる真骨頂がこの粘りの部分で、一音一音のサウンドに奥行が生まれると同時に独特な響きを生み出すので、唯一無二のサウンドに変化致します。
そんなコリーナを使用した当個体のサウンドに関してです。
まずクリーンサウンドは透明感があり、一音一音がハッキリとした輪郭を持っております。
ハイエンド系にありがちな"ただ硬い"サウンドでは無く、コリーナVらしい透明感と程よい硬質さサウンド全体に現れておりますので、アン直では勿論コーラス等空間系のエフェクターとの相性も良く、弾き心地が良い個体に仕上がっております。
クリーンも魅力的なギターでございますが、真骨頂はハイゲインサウンドにございます。
ハイゲインサウンドでは各弦、特に巻き弦がただぼやけたサウンドになってしまいがちですが、こちらの個体はしっかりとしたエッジ感や分離感の良さを持つため、コードを鳴らした際も一音一音が粒立っております。
その上リードプレイに於いてもスッと音が立ち上がり、ハイミッドがしっかりと抜けてくれるので伸びやか且つスピーディーなプレイが楽しめます。
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