1930年代から続くドレッドノートの名作。
マホガニーの明瞭な音抜けと、乾いた倍音が響く一本。
D-18は“原点にして最終地点”と称される、音楽家たちの永遠の相棒です。
【S/N 2856937 木目について】
トップ材には、整った縦の柾目が美しく走るシトカ・スプルースを採用。
細かなグレインが端正に並び、マーチンらしいクラシカルな表情を際立たせています。
バックのマホガニー材は、色味に深みがあり、やや赤みを帯びたビンテージ感あるトーン。
木肌は素朴ながらも、繊維の流れが非常に滑らかで、マホガニー特有のやさしさと力強さが感じられます。
全体として“誠実で温かみのある木目”が、この個体の魅力。
派手さではなく、“音の信頼性”と“長く愛される質実さ”を感じる木取りです。
【S/N 2856937 サウンドについて】
ストロークでは、マホガニーボディ特有の温かみのある中低域が前に出て、
どこかヴィンテージの甘さを含んだサウンドが広がります。
ドレッドノートながらも過度な低域にはならず、歌心を引き立てるようなナチュラルな音像は、
ボーカルとの相性も抜群です。
指弾きでは、乾いたアタック感と優しい立ち上がりが特徴で、
ミッドレンジに寄り添うような穏やかで包み込むような音色に癒されます。
倍音は派手すぎず、あくまで上品に、コードの重なりに深みを添えるタイプ。
シンプルな演奏ほど、D-18の本質的な良さがにじみ出る一本です。
【D-18 Standard – 質実剛健にして、音の真髄を貫くスタンダードモデル】
1931年、Martin社が初めて自社名義で世に送り出したドレッドノートモデル、それがD-18の原型「D-1」でした。
大型サイズによる豊かな低音と存在感は、当時台頭し始めていたカントリーや
ハワイアン、ラジオ放送といった音楽・メディアのニーズに応えるものであり、
マーティンの革新性を象徴する存在でした。
そして1934年、14フレットジョイント仕様への進化とともに「D-18」は
現在まで続くロングセラーモデルとしての礎を築きます。
上位モデルD-28と同じボディシェイプを持ちながら、サイド&バック材にマホガニーを採用することで、
より軽量かつ明瞭な音響特性を獲得。
その結果、D-18は“ローズウッドの重厚さ”ではなく、
“マホガニーの抜けの良さ”と“倍音のきらめき”を武器に、
ソロでもバンド内でも存在感を発揮できるギターとして評価されていきます。
現在のD-18 Standardも、その思想を受け継いでいます。
トップ材にはスプルース単板を採用。力強いアタックと優れた音抜けを両立し、
演奏のニュアンスを細部まで響かせます。
サイド&バックにはセレクトマホガニーを用い、ウッディで乾いたトーンとともに、
倍音の抜け感に優れた反応性を実現しています。
ネックはマーティン伝統のModified Low OvalシェイプにHigh Performance Taperを加えた握り心地。
高精度のPlek処理により、ハイポジションでも滑らかな演奏性が確保され、
ヴィンテージ感を残しつつも現代的なプレイヤビリティを備えています。
音響面では、ストローク時に中域から高域がきらめくように広がり、
まるで鐘の音が空間を満たすような荘厳さを感じさせます。
一方、指弾きでは倍音が繊細に絡み合い、マホガニー特有のスナップ感と透明感を持ったトーンが、
聴く者の心にまっすぐ届きます。
派手な装飾こそありませんが、それはあくまで“音”が主役であるという証。
ヴィンテージ・スタイルのエイジングトナー、鼈甲柄のピックガード、
伝統的なドットインレイなど、無駄を削ぎ落とした美しさがこのモデルには宿っています。
D-18は、華やかさよりも実力を求めるプレイヤーのための「働き者」。
それは、ブルーグラスの巨匠から現代のシンガーソングライターまで、
多くの名演奏を支えてきた歴史が証明しています。
このギターは、初心者が最初に手にする理想の一本でありながら、
プロが最後に戻ってくる“原点”でもあるのです。
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