D-45は、マーティンの中でも特別な存在。贅を尽くした美しさと、
胸を震わせる音色、そして長い歴史を背負った一本です。
1933年、アメリカのカントリースター、ジーン・オートリー(Gene Autry)による
カスタムオーダーで、初めてドレッドノートサイズのD-45が誕生したのです。
(以下、後程詳しく記載あり)
【個体の木目に関して:D-45としての風格と美を体現する一本】
このD-45は、トップ・バックともに選び抜かれた材が使われており、
“D-45という名にふさわしい風格”を木目からも感じさせる個体です。
トップには、細かく均一に走る柾目のスプルースが使用され、視覚的にも非常に整った印象を与えます。
木目の密度が高く、縦方向にまっすぐ伸びるグレインが、
豊かな鳴りと上品な音の透明感を予感させる、美しさと実力を兼ね備えたトップ材です。
サイド&バックには、非常に美しい縞を持つインディアンローズウッドが採用されています。
特にバックのセンター合わせが見事で、縦に走るストライプの整い方、
木肌の深い色味、グロス仕上げに浮かぶ光沢感――どれを取っても、まさに一級品。
その佇まいは、単なる装飾ではなく、クラフトと自然美の融合というMartinの哲学を
そのまま体現しているような印象を受けます。
全体として、選定基準の厳しいD-45ラインの中でも、特に美しい個体であり、
木目から受け取れる存在感の高さは、ショーピースとしても、プレイヤーズギアとしても申し分ありません。
【音の印象:華やかさと風格を兼ね備えた“王者の音”】
この個体は、まさに「D-45」という名前そのものを体現したような個体。
鳴らした瞬間に、空間の空気が変わる…それほどの存在感を持った一本です。
ストローク時には、華やかで煌びやかなトーンが広がりつつ、
しっかりと芯のある低音がボトムを支えてくれます。
ただキラキラするだけではなく、音の土台に深みがあり、
弾き手の感情に豊かに応えてくれるのが特徴。
そのサウンドは、まるで“音で舞台を変えてしまう”ようなスケール感すら感じさせます。
一方で指弾きになると、華やかさの中にふと現れる素朴さや静けさも印象的。
上品に整えられた音像の中に、どこか温かく、優しい表情が隠れており、
ただの豪華さでは語れない、奥行きのあるキャラクターを持っています。
全体を通して感じられるのは、“アコースティックギター界の王者”としての誇りと落ち着き。
高級機にありがちな「派手さ」だけではなく、長い歴史と品格が息づくような、
深い安心感と風格ある鳴りがこの個体には宿っています。
【“アコースティックギターの王者”―Martin D-45】
その名を聞くだけで、胸が高鳴る人も多いはず。
D-45は、マーティンの中でも特別な存在。贅を尽くした美しさと、
胸を震わせる音色、そして長い歴史を背負った一本です。
もともと「Style 45」としての製作が始まったのは1904年。
そこから少しずつ、極上の装飾スタイルとしての地位を築いていきました。
そして1933年、伝説が動き出します。
アメリカのカントリースター、ジーン・オートリー(Gene Autry)による
カスタムオーダーで、初めてドレッドノートサイズのD-45が誕生したのです。
その初期のD-45は、アディロンダックスプルースのトップと
ブラジリアンローズウッドのサイド&バックという最高峰の組み合わせで、
1942年までの9年間でわずか91本のみ製作された幻のモデル。
その希少性と音の素晴らしさから、今ではヴィンテージ市場で数千万円で取引されることもある、
まさに“伝説のギター”です。
一度はその姿を消したD-45ですが、1968年に復活します。
この時期もブラジリアンローズウッドを使用し、1968〜1969年の2年間でわずか229本の生産のみ。
これらのモデルもまた“復刻ヴィンテージ”として非常に高い価値を持ち、
今なお世界中のファンに愛され続けています。
ちなみに日本では、加藤和彦氏が初めてD-45を手にした人物とも言われ、
当時のフォークブームの中でD-45が特別視されるきっかけにもなりました。
そんな由緒正しきD-45が、今なお憧れの的であり続けている理由――
それは、Martin社が最高峰の木材だけを厳選し、
熟練のクラフトマンの手仕事によって一本ずつ丁寧に作り上げているからに他なりません。
現行のD-45は、トップに美しいシトカスプルース(エイジングトナー仕上げ)、
サイド&バックには極上のインディアンローズウッドを採用。
その色味や縞模様の美しさには、思わず見惚れてしまうほどの気品があります。
ボディ全体に施されたアバロンインレイとアンティークホワイトのバインディングは、
決して派手すぎず、上品で格調高い印象を与え、D-45ならではの気品を演出してくれます。
その響きは、低音から高音までどこまでも澄み渡り、たった一度のストロークだけで、
D-45の存在感を全身で感じさせてくれるのです。
D-45は、単なる“高級ギター”ではありません。
それは、マーティン社の誇りと技術、そして音楽への情熱がすべて注ぎ込まれた芸術品。
演奏する喜び、所有する喜び、そのすべてを叶えてくれる、まさに“選ばれし一本”です。
【2025年の仕様変更】
2025年仕様には、Martinの歴史と革新を融合させた
“ゴールデンエラ(GE)仕様”が随所に盛り込まれています。
まず最大の注目は、トップブレイシングに採用された「GEブレイス」。
これは1930年代の“黄金時代”の設計思想を元にした構造で、
従来モデルよりも倍音の豊かさ・サスティンの伸びが際立ちます。
音の立ち上がりが早く、鳴らした瞬間から空間を満たすヴィンテージライクなサウンドを実現しています。
そしてもうひとつ重要なのが、ヘッド周辺の構造改良。
指板からヘッドへの“ナットオン角度”が強調され、ヘッドの角度が深くなっています。
これにより、弦のテンションバランスが最適化され、弦振動の伝達効率が向上。
単なるデザイン変更ではなく、音色のクリアさや芯のあるトーンを生み出す構造的改良です。
ネックシェイプには“GEモディファイド・ロウ・オーヴァル”を採用。
従来のロウ・オーヴァルシェイプをベースに、
手に吸い付くような握り心地を維持しながら質量を抑え、ヴィンテージの質感をプラスしています。
ブリッジ周辺では、GEモダンベリーブリッジとボーン製のピン類を組み合わせ、
トーンとサスティンの向上を追求。
さらに、ネックトランジションの“長いダイヤモンド型”と、
なめらかなヴィンテージスタイルのヒールが、演奏性と高級感を引き立てます。
ヴィンテージの息吹を現代の完成度で再構築したこの一本は、
見た目にも、弾いても“特別”を感じられる仕様です。
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