今でこそ普遍的王道として欠かさずに定番モデルが展開されるLes Paulですが、50年代初頭の登場以降その地位が必ずしも常に市場のニーズに合致をしていたとは限りませんでした。伝説的な"オリジナルサンバースト"が発売された1958~60年の後、60年代の大半は"SG"にソリッドモデル代表の座を譲り、1968年にようやく復刻。しかし間もなくミニハムバッカーの搭載と共に"Les Paul Deluxe"展開へと切り替わり、併せて所謂"ノーリン期"が始まるこれ以降では、ボディ構造やマテリアル、製造方法等も大きく変更されていくこととなります。生産拠点においてもカラマズー工場から現在のナッシュビル工場へと移行が始まった70年代後半、気がつけばLes Paulモデルの仕様は、ラージヘッド、14度の浅いヘッド角、逆に深くなるネック差し込み角、3ピースメイプルネック、3ピースメイプルトップに積層構造のマホガニー"パンケーキ"ボディ...といった変化を経ており、言ってしまえば王道としての50年代スペックに対して"何も正しくないLes Paul"となってしまったともいえます。その後80年代から醸成されてゆく市場のVintage志向は90年代初頭のCustom Shop設立へと繋がるわけですが、その過日存在したこれら70’sモデルも、その特徴的なスペック故に近年では新たな評価がされるようになってきております。本器はフルサイズのハムバッカーが再び採用され始め"Standard"のモデル表記が復活し始めた頃、76年製の1本。この少し前からオプション的にフルサイズハムバッカーが搭載されたLes Paul Deluxeが存在しており、モデル表記においても"Standard"、"Deluxe"が入り混じっていることが知られています。本器においてもヘッド裏シリアルのデカール上部、モデル名部分を切り取ったような工夫があり、過渡期らしい混乱が見て取れます。前述通りの3ピースメイプルネック等など、この年式特有のマテリアルと構造がサウンドにも大きく影響しており、タイトな造りによる直線的な音の立ち上がりと安定感のあるサスティーンをシンプルな挙動でアウトプット。またこの頃のGibsonではボリューム、トーンのポットに300KΩ程の抵抗値を採用しており、トレブルが少し抑えられることにより独特にハイミッドが強調された少し牧歌的な印象のトーンが特徴的。歯切れの良さとGibsonらしい音像の甘さ、Les Paulらしいパワー感とが絶妙に混在した雰囲気溢れる空気感で、クリーン~クランチでの存在感あるカッティングフレーズや、深く歪ませても音の分離感をしっかり残したドライブサウンドなど、非常に魅力的で”使える”サウンドキャラクターを持ちます。こちらスラッシュ風のモチーフでアレンジが加えられており、3ピースメイプルトップを活かしてピックガードを取り外され、ピックアップはSEYMOUR DUNCAN APH-1n/bに換装済み。よりスムースでウォームなトーンに仕上がっております。ポット、コンデンサはすべてオリジナル。ペグブッシュが交換されている他、コントロールキャビティ内のシールドカバーが取り外されております。この年代らしい背の低いタイプのフレットですが、現状音詰まり等なくローアクションでのセッティングができております。現状ストレートなネックはロッドの調整も問題なく良好なコンディション。経年相応の使用感はございますが、顕著に外観を損なうダメージは見受けられません。サウンド・ルックスともに特有の魅力を放つ70’s Les Paul。ぜひご確認ください。ハードケース付属。
Condition:EX++
Top:3pc Maple
Back:3ply Mohagany "Pancake"
Neck:3pc Maple
Fingerboard:Rosewood
Fingerboard Inlay:Dish
Bridge:Nashville Type Tune-O-Matic
Machine Head:Schaller "Floral Logo"
Pick up:SEYMOUR DUNCAN APH-1n/b
Nut width:42mm
Scale:628.65mm
Control:2Volume,2Tone
Weight:4.81kg
Case:Hard Case
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