1996年製 フェアフィールド・ベース…といっても響く方は殆どいらっしゃらないのではないかと思います。
時はバブル崩壊後、楽器業界も色々な変化が求められていました。フェンダーやアイバニーズなどの下請け工場として知られていたフジゲンですが、韓国の工場に低価格帯のシェアを奪われ始めたり、国内の不景気により受注数そのものが減ったりといった危機的状況の中、他の工場と同様に自社のブランドの立ち上げに活路を見出して行きます。フジゲンでは、元々のクライアントである数々の楽器販売会社や小売店との軋轢を生まない為に 株式会社ワコー という販売会社を設立するまでし、配慮したのでした。
こうして立ち上がったのが " F&C " というブランドです。「フジゲン&カンパニー」の意だと思いますが、高級ラインは "F&C FUJIGEN"、低価格ラインは "F&C Anboy" と分かれています。ブランドのキャッチコピーは "We make all" でした。もちろん後の FGN です。
そんな F&C FUJIGEN を世に知らしめるべく、フジゲンのリソースの全てを投入した限定ラインが本シリーズで、4弦 60本、5弦50本、6弦30本 が製作されたと言われています。本機はその5弦モデルという訳です。
「NEXT を託したフォルム」「弦楽器の理想形、多層ラミネートのスルー・ネックが自然なサスティーンを生む」とカタログにあります。ヘッドは Smith シングル・カッタウェイは Fodera ラミネートの重ね方はどこか Tobias っぽいですが、しかしトータルでみると、なんだかやっぱり 松本っぽい感じがいかにもフジゲンであります。
材の選定の本気度は凄まじく、本当にリソースの全てを投入している感、その気合いの入り具合に驚かされます。
マホガニーをセンターにしたトップ&バックは Koa材 なのですが、そのフレイム具合、厚み共に凄く、秘蔵の材を引っ張り出してきた感が半端ありません。バブル崩壊後の同社の取組の真摯さが伝わってきます。
電装は、当時の定番のバルトリーニの BCソープ・バーと、オリジナルの3バンド・プリアンプでしたが、本機はプリアンプが不調で、アギュラーのOPB-3 に換装されています。この機種の弱点はプリアンプにありましたので、この変更は寧ろ好材料だと思います。
本機はトラスロッドの効きがあまりよくありません。これはおそらく木材自体が固い為とおもわれます。それでも締めればストレートを超えて逆反りになるまでには効いてくれます。今回、大分締めました。ハイ起きの症状が見られますが、一般的な弦高ではバズが出るほどではありません。OPB-3 のミドルの周波数切り替えのプッシュ/プルのSWが、何故かトレブルのポットに割り当てられています。その意図は不明です。トラスロッドカバーオイルは作り直されているようです。年式を考慮すれば使用感は少なめの個体ですが、塗膜による保護力の殆どないオイル・フィニッシュであるため、小傷は多数みられますが、同じ理由であまり目立ちません。
ワーウィック社製のツアーケース付属。
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